こんにちは。院長の栗本です。
今日は前回の続きで、腰部脊柱管狭窄症の治療法について書いてみたいと思います。
保存的治療(薬物療法・リハビリテーション)で改善が得られず、日常生活に支障をきたすようになった場合
手術療法が選択肢として挙がってきます。
具体的には(前回と同じ内容ですが)
立位保持(電車内で立っている・台所仕事をする)が辛く、すぐに座りたくなる
歩行で腰痛や下肢が重たくなり、すぐにしゃがんだり座ったりしたくなる
筋力低下(足首が動かしづらい等)が出ている
夜間頻尿・便が我慢できない
といったケースです。
➡手術が回避できるに越したことはないのですが、「日常生活を取り戻す・明日を楽しみに生きて頂く」為に手術をお勧めする場合があります。
手術方法は大きく分けて①除圧術 ②固定術 の2種類があります。
①除圧術(椎弓切除術等)
背骨が安定している(前屈・後屈などで極端なズレが生じない)場合に行われる手術です
神経を圧迫している骨・軟部組織(靭帯・脂肪組織等)を取り除くもので、内視鏡下除圧術・顕微鏡下除圧術・直視下除圧術の3つに分けられます。
内視鏡手術が最も低侵襲で、最近は傷口が1cmに満たない手術方法もありますが、やはりその分スキルが要求されてきます。
②固定術
ボルトやスペーサーを用いる手術で、不安定性がある脊柱管狭窄症に対して行われます。
以前は正中(背骨の真上)に15㎝程の皮膚切開を作る手術が主流でしたが、近年は除圧術同様低侵襲化が進み
以下の2種類が多くなっています。
①低侵襲後方椎体間固定術(ミニオープンTLIF+PPS)
正中に約5cmほどの小皮切を作り、除圧と椎体間への人工のスペーサー挿入までを行います。その後両側に別の小さな皮切(各1cm程度)を作り、そこからスクリューを挿入し固定する手術です。
②低侵襲前方後方固定(XLIF・OLIF)
まず通常は左わき腹を5センチ程度(症例によっては右わき腹のこともあります)切開して椎体間に人工のスペーサーを挿入します。これにより脊柱管が間接的に除圧され、側彎変形も改善します。
その後腹臥位になって頂き、①同様背骨の両側に小さい皮切を作り、そこからスクリューを挿入する固定術です。
➡直接神経を触るわけではないので神経損傷の危険性を下げられるメリットがありますが、元々の狭窄の程度によっては除圧(直接神経の圧迫を解除する)術を追加することもあります。
これ以外にも内視鏡補助下での固定術や正中(背骨の真上)からやや左右どちらかにずれた位置に皮膚切開を置く等の手術もありますが、上記2つをベースにした応用・工夫と考えていただくと良いかと思います。
近年は低侵襲な手術が行われるようになってきていますが、低侵襲手術により術後の回復が早くなり・術後のリハビリ効率も高くなります。
手術を回避できるならそれが一番かもしれませんが、どうしても手術を受けざるを得ない場合に
「どのような手術が良いのか」悩まれる方もいらっしゃるかと思います。そのような方にとってこの文章が一助になれば幸いです。
急激に気温も下がってまいりました。
体調崩されませんよう皆様ご自愛ください。
では良い連休をお過ごしください(^^♪